「ホームレスだから」、「受診するお金がないから」、「保険証がないから」という理由で適切な医療が受けていないホームレスの方が多くいます。そのような方々の支えに少しでもなるために、千鳥橋病院が加盟するふくおか民医連では毎月第1金曜日に福岡市博多区にある冷泉公園で、医療支援を行っています。
1990年代後半から失業者が急増し、ホームレス生活をする人が増加しました。全国のホームレスの数は2013年1月現在約8,300人と発表されており、福岡県では約350人です。福岡市博多区にある千鳥橋病院には、2006年、1年間に約400人のホームレスが受診しました。その後「派遣村」や様々な支援活動があり、2011年は100人弱まで受診が減りました。受診する時にはすでにひどい疾病を患っており、そうなる前に何かできることは無いかと私たちは考えました。
2009年2月から毎月第1金曜日の夜、医療支援の活動を始めました。
医師、歯科医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、九州各県の医学生や看護学生など様々な人が参加し、活動をしています。NPO法人福岡おにぎりの会の炊き出しの隣にテントを建て、毎月10人程の方が来訪されます。最初に看護師が問診、血圧・血糖値測定などを行い、受診を希望する人は医師の診察を受けます。高血圧や糖尿病など慢性疾患に対しての処方はできませんが、かぜや腸炎など、急性疾患に対しては簡単な薬を処方します。一人一人にカルテを作成し、受診歴や血圧・血糖値などを管理しています。
2009年2月~2011年2月の間に約150名の診察を行いました。平均年齢は61歳でその内94%は男性です。
疾患の分類は、かぜ18%、腰痛など整形疾患17%、皮膚疾患8%です。71%の人は高血圧を疑う数値が出ており、一部の人はアルコール依存症も見受けられました。
4年間の活動の中で約180名の医学生が参加しました。ホームレスの方と、初めて会話する学生がほとんどで生活環境や実体験を聞くことで、大学では学ぶことができない経験ができています。
病院にかかる機会がなく、健康に不安を抱えているホームレスの方達に医療支援を通じて、毎回顔の見える活動を行っています。学生たちも問診の仕方やバイタルの測定を学んでいます。
テントを訪れる人たちのほとんどは、かぜや腸炎などいわゆる急性疾患です。診察を行う中で感じたことは、医療よりむしろ「食事」と「安全な住宅」を必要としていることでした。生活保護の申請を勧めることもしばしばあります。住宅を得た人もいましたが、その内の何人かは社会的なつながりがなく路上生活に戻ってしまいました。支援を行いながら、根本的な問題である「貧困」について正面から考えてきました。
この活動の一番の魅力は「出会い」にあると思います。失職、健康問、アルコール依存、借金、家族に頼れない状況など様々な事情で、ホームレスにならざるを得なかった方たちと出会い、ドラマのような人生史を聞くことができます。医師として、どう生きるかを考える貴重な機会になります。
医学生のみなさんも私たちと共に、現代にある「貧困」について考えてみませんか?いつでもお待ちしています。
テントを訪れる人たちのほとんどは、かぜや腸炎などいわゆる急性疾患です。診察を行う中で感じたことは、医療よりむしろ「食事」と「安全な住宅」を必要としていることでした。生活保護の申請を勧めることもしばしばあります。住宅を得た人もいましたが、その内の何人かは社会的なつながりがなく路上生活に戻ってしまいました。支援を行いながら、根本的な問題である「貧困」について正面から考えてきました。
この活動の一番の魅力は「出会い」にあると思います。失職、健康問、アルコール依存、借金、家族に頼れない状況など様々な事情で、ホームレスにならざるを得なかった方たちと出会い、ドラマのような人生史を聞くことができます。医師として、どう生きるかを考える貴重な機会になります。
医学生のみなさんも私たちと共に、現代にある「貧困」について考えてみませんか?いつでもお待ちしています。
- 看護師● 普段患者さんとして接するホームレスの方にマイナスのイメージがあった。しかし医療支援に参加して、親戚のおじさんのような親近感を覚えた。これからも一人ひとりに寄り添いながら看護師として、一人の人間として医療支援に参加していきたい。
- 医学生● ホームレス医療支援では、普段は目をそむけたくなるような社会の一面を肌で感じることのできる貴重な体験になる。社会的弱者と呼ばれる人がどのような生活を送り、何を考えているのか、支援活動をとおして見えてくるものがある。
- 医療ソーシャルワーカー● 支援活動を続ける中で、路上に留まらざるをえない理由が本人とは別にあることがわかった。自分に何ができるのか、一人ひとりの胸の内に何があるのか、社会がどのように変われば飢えや病気に苦しむ人が少なくなるのかなどを考えながら、引き続き参加したい。
- 医学生● 私が参加したときは、冬の季節でかなり寒かった。そんな中でもホームレスの方は、炊き出しに並んでいる。話を聞くと、生活保護の申請を断られた方が多くいたことに驚いた。もっと生活保護の仕組みや実態を学びたいと思った。
- 福祉系学生● 望んで路上生活をする人はいないだろうに、そこから抜け出せない社会になっていることが、同じ社会に生きる者としてとてもつらく感じました。その人たちの少しでも希望になるように、これからも活動できたらいいなと思います。