6月27日~28日の日程で全日本民医連主催「医学生のつどい」が行われました。戦後70年ということで被爆地長崎で戦争をテーマにシンポジウムを開催、全国の医学生約80人が集まり、交流を行いました。
参加者のうち半数が初参加というのが特徴的で、九州沖縄からも20名が参加しました。
シンポジウムは、「『戦後70年、医学生が今とこれからを考える』~医学生が戦争を『健康』という視点から捉え、過去・現在・未来を考える~」をテーマに3名の講師が講演を行いました。それぞれの立場で戦争とどう向き合っているかが語られ、貴重なお話ばかりでした。
コーディネータ:座波 政美氏(沖縄民医連・副会長)
パネリスト:熊谷伸一郎氏(岩波書店編集部・ジャーナリスト)
山田拓民氏(長崎原爆被災者協議会・事務局長)
奥野理奈氏(立川相互病院・医師)
熊谷氏の講演では、核兵器が国際条約で規制されていないにも関わらず、長崎の原爆投下以来使用されていないことに対して「微力ではあるが無力ではない」という世論の重要性を訴えました。政治に対して不信感を抱く若い世代を奮い立たせる熱いメッセージでした。
その後のスモールグループディスカッションではシンポジウムで刺激を受けた学生達が自分たちもどう平和と向き合っていくのかについて盛んに議論を交わしました。
2日目は、民医連の研修について立川相互病院副院長の山田秀樹医師と、みさと健和病院の井上裕次郎医師のお二人が講演され、大学病院と民医連での研修の違いが良く分かる有意義なものでした。また、学生のうちからできることや、将来についてどう考えるか参考になる講義でした。
つどい終了後には長崎民医連が企画した被爆遺構めぐりツアーに参加しました。つどいでは被爆体験や戦争の悲惨さを耳で聞き、フィールドワークでは平和案内人の方のガイドの下、目で見ることでよりリアルに感じることができました。(原爆資料館→爆心地公園→平和公園→如己堂→浦上天主堂→長崎大学)
<参加学生の感想>
シンポジウムについて
・平和や政治の知識や考え方について学べただけでなく、それを知った自分たちには周りに伝えていく責任があるということも気づかされました。
・戦争を体験している人は減っているので3人の講師の方のお話はとても貴重だと思いました。
医師研修について
・民医連と大学病院の研修の違いが良く理解できました。初期研修の目的の一つに「人格の涵養」というものがあることを知り、そういう観点からも研修先を選ばなければいけないと感じました。
・民医連の新専門医制度への見解が理解できました。制度がこれからどう作られていくか注目していかなければいけないと感じました。
フィールドワークについて
・小学生の頃にも訪れたことがある場所もありましたが、成長して来てみると感じることが違い改めて原爆の悲惨さを学ぶことができました。
次回は「医療格差」をテーマに10月のつどいが開催されます。医学生のみなさん、医学生のつどいに興味のあるかたは、各大学の医系学生サポートセンターまでご連絡・お問い合わせください。
サポートセンターでは、全国の医学生が共に学ぶ場を提供しています。