「離島の地域医療を体験しよう!」~地理的な離島はあっても人の生命に離島はあってはならない~
九州沖縄民医連の新入生歓迎企画in奄美として5月31日~6月1日の2日間で離島医療を体験しました。九州縄の大学より、医学生29名、うち1年生が19名と多くの参加がありました。
1日目は、初めて会う学生同士のアイスブレイクとしてマングローブでのカヌー体験を行いました。奄美大島はすでに梅雨入りしていましたが、この2日間は晴天に恵まれ、青い海と青い空に囲まれ、楽しい時間を過ごすことができました。
その後、奄美医療生協の樫田祐一理事長から奄美の医療の歴史、奄美医療生協の成り立ちと今後果たすべき役割についてお話を伺いました。
続いて、海上タクシーで加計呂麻(かけろま)島へ移動し、医療生協の組合員さんの班会に参加しました。血圧測定や尿検査、体脂肪測定などを行い、終了後は健診に参加された地域の方から離島医療の現実や問題点(島に診療所がひとつしかなく、巡回診療しかない。島の裏側へ行くにはひと周りしなければならないなど)や島の生活、戦争の悲惨など多くの話を伺いました。
星空の下での夕食交流会では、各大学の学生や職員との交流を深めることができました。
2日目は1日目を振り返ってのSGD(Small Group Discussion)を行い、各テーマについての多くの意見交流を行いました。その後、海上タクシーで南大島診療所に移動し、杉原雄治所長から地域医療の現実を学び、午後からは組合員さんを囲んで奄美の戦前戦後の歴史を聞くことができました。
参加した学生の感想
・ ただ単に医学生としての自覚を持つだけでなく、将来医師になったとき病気でなく人を見るということをしないといけないと改めて思った。
・ 他学生と多く交流出来たことは貴重な体験だった。
・ 戦後、人手不足により看護師が検査技師や放射線技師の仕事もしていた時があったという話があり、今まで聞いていた話がより実感できた。
・ 患者さんとのコミュニケーションの取り方の難しさも実感し、これから学ぶことがたくさんあると思った。
・ 今まで研修先は東京の大病院と考えていたが、実際に地域住民の方々と直接お話して地域医療にも興味が出た。
今回、奄美医療生協の樫田理事長が医学生に、なぜ民医連を選んだかとの思い伝えてくださいました。
○生まれ育った故郷の経験からくる医療格差に対する思い
○地域格差解消に貢献したい
-でも、一人では不安、エネルギーが切れたらそれでおしまい
-持続可能なシステムづくりと同じ志をもつ仲間が大切
○学生時代の経験からくる思い
○「困っている患者さん、社会的弱者の力になりたい」
-難病問題研究会の活動からの経験
-難病で困っている人
○実習にいった病院(水島共同病院、奄美中央病院)での体験
・公害や職業病で困っている人
・生活に困っている人
・社会格差に苦しんでいる人
〇想いだけではなく、医師としての総合的な力をつけたい
-医学的に高いレベルの力量・技能
-困っている患者を見極め、その困難を解決する多様な力量
今回の奄美での新入生歓迎企画では、多くの学びと交流を土産に帰路につきました。
民医連では、医学生に学びと交流の場を提供しており、その窓口として医系学生サポートセンターを開設しています。お近くのサポートセンターにお問い合わせください。
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QOKI(九州・沖縄医師研修センターのページ)